「勤務時間の計算式を入れたいだけなのに、説明されたメニューが見つからない……」
AIにExcelの操作を聞いたら、手順が十個返ってきた。読み上げを聞きながら操作しているうちに、どのセルを選んでいたか分からなくなった。そんなときは、質問の仕方を変えてみてもいいかもしれません。
With Blindのよーすけです。この記事では「Excelの操作方法を説明して」から、「このファイルで、この作業をして」へ依頼を変える方法を考えます。Word・Excel・情報収集という三つの仕事を題材に、渡すもの、頼む範囲、確かめる点を具体的に見ていきます。
会話は説明のための架空のやり取りです。勤務表や受付業務はWith Blindの仕事を想定した練習例で、実在する職員や申込者のデータは使いません。公開報告で確認できる講座実績は、その旨を明記します。
まず「直す前に、構造を説明して」と頼む
ファイルを渡したら、AIが勝手に変えてしまいそうで怖いです。

いきなり「いい感じに直して」と頼むと、確かに方向がずれやすいです。まず「まだ編集せず、シート名と列の意味を説明して」と頼みましょう。AIが何を読み取ったか、先に確かめられます。
ChatGPTは、言葉で質問や依頼ができるAIです。ファイルを扱える機能が利用できる環境なら、内容の整理や編集を頼める場合があります。Workはまとまった作業を成果物まで進めてもらう使い方、Codexは開発向けの画面を持つ入口です。仕事に使う機能は重なります。
複数の作業を順番に進めるAIを、AIエージェントと呼びます。名前を覚えるより、「説明がほしいのか」「完成したファイルがほしいのか」を決める方が、依頼を作りやすいです。OpenAIのWork公式案内で、どのような成果物を頼めるか確認できます。
JAWSやNVDAは、画面を音声で伝えるスクリーンリーダーです。セルを直接移動して確認する方法は引き続き使います。そのうえで、ChatGPTデスクトップアプリから「列の並びを言葉で説明して」「編集箇所をセル番地付きで報告して」と頼むと、操作や読み直しを減らせる可能性があります。
最初の依頼例:添付した練習用勤務表を確認してください。まだ編集せず、シート名、各列の意味、入力されている数式、不明な点を説明してください。原本は変更しないでください。
AIの説明を聞いて、休憩の単位や日付の扱いが違っていたら、そこで直します。元のファイルのコピーを使い、完成版には別の名前を付けるように伝えます。戻れる状態があると、やり取りもしやすくなります。
勤務表は、計算ルールを先に決める
「勤務時間を計算して」だけでは足りませんか?

始業と終業の差から何を引くか、空欄をどう扱うかが必要です。たとえば休憩が「1時間」なのか「60分」なのか。ここが違うと、計算式が合っていても結果が変わります。
練習用勤務表を、日付、始業、終業、休憩分、実働時間の五列で作るとします。まず日をまたがない勤務だけで試します。「9時から17時、休憩60分なら実働7時間」という、人が暗算できる行を入れておきます。
修正の依頼例:A列は日付、B列は始業、C列は終業、D列は休憩の分数です。E列に実働時間を入れてください。日をまたぐ勤務は今回扱わず、該当する行は要確認として報告してください。未入力の行に0時間を表示しないでください。変更したセルと計算ルールを説明し、別名のExcelファイルで保存してください。
これはそのまま給与計算へ使う数式の指定ではありません。丸め、残業、休憩の扱いなど、本番の勤怠ルールは職場で確認します。日をまたぐ勤務を後から追加するときも、明示したルールに沿って別にテストします。
ファイルができたら、合計だけ見れば大丈夫ですか?

合計が合っていても、別の行の誤りが打ち消し合っているかもしれません。普通の勤務、休憩なし、空欄など、条件が違う行をいくつか確認したいです。数式が文字列になっていないかも見ます。
Excelで開き、数式が入ったセルを確認し、既知の値で結果を比べます。表示形式によって、時間と小数の見え方が変わることもあります。「7時間」と「7.0」を混ぜて合計しないよう、出力の単位を決めます。月の合計などは別の方法でも照合します。

Wordの案内文は、内容と見た目を分けて直す
With Blindの2025年の生成AI講座報告には、Word文書の作成とExcelのレイアウト調整の実習があります。ここでは、その実績を踏まえ、講座案内を作る仕事を想定してみます。
最初に、正しい日時、参加方法、申込先、問い合わせ先をまとめます。「この情報以外は追加しない」「対象者に必要な条件を省かない」と頼み、文章の内容を確認します。その後で、見出しや箇条書き、余白を整える依頼を出します。
内容が読めれば、レイアウトはAIにお任せでもいいですか?

「A4縦、2ページ以内、見出しは見出しの機能を使う、文字の本文を画像にしない」など、完成条件を伝えたいです。そのうえで、PDFにした結果も別に確かめます。
「見出しの機能」は、太字にするだけでなく、Wordが見出しとして認識する設定です。読み上げで移動しやすい文書にしたいとき、見た目以外の条件も必要です。表の結合を増やしすぎないことや、読み順を確認することも依頼へ加えます。
With Blindの半年間の実践記録では、文書の右端が切れるなど、印刷前の確認課題が残りました。AIへ「完成」と言われても、PDFを開いて文字が読み上げられるか、ページ数が合うかを確認します。重要な案内や契約書では、見た目を確かめる別の手段も用意します。
契約書なら、条文を読みやすく整理することと、契約内容を決めることを区別します。「改行だけを調整し、本文・数字・条件は変更しない。差分を報告して」と範囲を限定しても、原文との照合は必要です。法的な判断を、レイアウトの依頼に紛れ込ませないようにします。
イベント調査は「候補を集める」と「開催を確かめる」を分ける
AIに、公開されているイベント情報を調べてもらう場面を想定します。「来月のイベントを調べて」だけでは、過去の催しや対象外の地域が混ざるかもしれません。地域、期間、主催者、必要項目を指定します。
調査の依頼例:指定した主催者の公式サイトから、2026年11月に開催予定のイベントを調べてください。名称、開催日、申込締切、対象、公式URL、確認日を一覧にしてください。開催年を確認できない情報は候補から外し、未確認の項目は推測せず未確認と書いてください。
出典URLが付いていても、それだけで正しいとは限りません。リンク先を開いて、その日付と対象が実際に書かれているかを確認します。申込みを案内する前には、中止や変更の告知も見ます。取得できなかったページまで読んだようにまとめないことも、AIへ伝えておきます。
| 仕事 | 先に渡す条件 | 最後の確認 |
|---|---|---|
| 勤務表 | 列と計算ルール | 検算と空欄 |
| Word案内 | 原文と完成条件 | 内容・PDF・読み順 |
| イベント調査 | 公式サイトと期間 | 開催年と申込条件 |
どの仕事も、AIへ渡す条件が結果を左右します。できたものを見るだけでなく、「今回どの情報を根拠にしたか」「確認できなかった点は何か」を一緒に報告してもらうと、修正しやすくなります。
受付メールやリマインダーは、送信前のテストまで設計する
フォームに申し込んだ人へ、自動でメールを送る仕組みも作れますか?

利用できる道具と連携の設定によっては作れる可能性があります。ただ、メールの文章ができたことと、正しい人へ一度だけ送れることは違います。架空の申込みで先に試したいです。
Googleフォームなどの受付フォームを想定すると、質問項目、必須・任意、受付後の管理、メールを送る条件を決める必要があります。「受付済み」と「参加確定」を同じメールで知らせると、入金前でも席が確保されたと誤解されるかもしれません。業務上の意味を先に言葉にします。
さらに、同じ人が二度申し込んだ場合、キャンセルした場合、開催日が変わった場合を試します。リマインダーは、予約しておけば終わりではありません。停止方法や送信記録も確認します。AIへ外部の操作を任せる場合は、サービス側の権限と接続も必要です。
With BlindのAI活用講座・応用編では、業務設計、フォーム作成、受付後のメールなどの機能追加を扱います。講座で扱う内容の紹介であり、With Blindの申込業務がすべて自動で動いているという説明ではありません。

AIへの依頼は、長さよりも「確認できる終わり方」
仕事を頼む文章には、目的、渡す材料、してほしい作業、変えない部分、完成条件を入れます。一度に全部を完璧に書く必要はありません。最初の返答を見て、不足している条件を足します。
「この表をきれいにして」なら、AIは色や罫線を変えるかもしれません。「読み上げで確認しやすくしたい。列名を明確にし、結合セルを増やさず、変更箇所を説明して」と伝えると、目的が具体的になります。見た目の好みと、仕事で必要な条件を分ける感覚です。
予想と違うファイルができたら、全部をやり直す前に、問題を一つ指定します。「この数値が違う」「この見出しを残して」「日付の順に並べて」。修正のたびに確認する点が決まっていれば、音声でも追いやすくなります。
自分の業務一つを題材にしてみたい方へ
依頼文を読んだら、自分の仕事にも当てはめられそうです。一人で試すときは、どこまでやればいいですか?

最初は練習用の表一つで十分です。列を説明させ、条件を一つ伝え、直した結果を比べる。そこで難しかった部分が分かれば、次の相談もしやすくなります。
今回の応用編は、2026年11月の月曜日または水曜日に全4回、各回20時から21時30分のオンライン講座です。受講料49,500円(税込)には、受講期間中のChatGPT Business利用環境が含まれます。
JAWSまたはNVDAでWindowsを操作でき、ChatGPTデスクトップアプリやChrome、Officeを自力でインストールできることなどが条件です。Googleドライブとスプレッドシートの基本操作も必要で、Officeは自分の所有するものを利用します。講座では実在する顧客や職員の個人情報、勤務先の機密情報を使わず、練習用データで取り組みます。
日程・受講条件・申込方法を講座ページで確認するから、ご自身の業務に合うかをご覧ください。「何を頼むかがまだ曖昧」という方は、困っている作業を一つ書き出すところから始めてみてください。
情報確認日:2026年10月3日。利用できるAI機能や連携先は環境により異なります。依頼文は練習例であり、勤怠・契約・外部送信を無確認で運用するための手順ではありません。

