JAWSでChatGPTは使える?視覚障害者がAIに仕事を頼むための操作と確認

ヘッドホンでパソコンを使う人、音声を表す波形と「JAWSでChatGPT」の文字 アプリ・AI・ICT活用

ChatGPTに質問を送れた。でも、回答がどこから始まったのか分からない。ファイルを添付したつもりなのに、本当に渡せたのか不安になる。

スクリーンリーダーで初めてChatGPTを使うと、AIの性能より先に、こうした操作で止まることがあります。

こんにちは、With Blindのよーすけです。僕は全盲で、普段の仕事ではJAWSやPC-Talkerを使い、Excel、Word、Microsoft Teams、社内システムを操作しています。ChatGPT Businessも日常的に使い、ExcelやOffice文書の処理、インターネット調査、レポート作成、ホームページ編集、Webアプリの作成まで、かなり踏み込んで任せています。

だからこの記事では、「視覚障害者でもChatGPTを使えます」という紹介だけでは終わりません。JAWSで入力欄へ移動し、送信し、回答を読み直し、できたファイルを確認するところまで、仕事の流れとして説明します。

会話に登場する会社員は説明のための架空の人物です。よーすけの利用環境と業務内容は本人の実践です。ChatGPTの画面や読み上げ方は、更新、プラン、ブラウザー、JAWSの設定によって変わります。キー操作は2026年10月4日に公式資料と公開ガイドを確認しています。

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全盲の僕が、ChatGPTを仕事で使う理由

JAWSを使う会社員(架空)

よーすけさんは、ChatGPTに質問するだけではなく、本当に仕事のファイルまで扱っているんですか?

よーすけ

はい。Excelの構造確認や数式、Word資料、Webリサーチ、レポート、ホームページの編集、Webアプリ作成まで使っています。ただし、任せた結果を自分で確認できる形にすることを大切にしています。

僕にとって便利なのは、操作方法を一つずつ聞けることだけではありません。「このExcelのシート名と列の意味を説明して」「元ファイルは残して、コピーに数式を入れて」「変更点を一覧にして」と、作業そのものを依頼できることです。

Teamsや社内システムは、画面構造やアクセシビリティがそれぞれ違います。JAWSで問題なく操作できる部分もあれば、更新で読み上げ方が変わることもあります。そんなときも、現在読み上げられている部品名やエラーをChatGPTに伝えると、問題を整理する補助になります。ただし、AIが実画面を確認していない場合、その案内は候補です。存在しないメニューを断定することもあるため、実際の読み上げと照合します。

OpenAIが紹介するTwo Blind Brothersの事例でも、表計算の異常値を探す、メールから対応が必要な内容を抽出する、プレゼンテーションを作るといった仕事への活用が紹介されています。視覚情報を文章に変えるだけでなく、次の行動へ進める使い方です。

JAWSでChatGPTを操作する前に、二つの状態を知る

JAWSを使う会社員(架空)

Hで見出し、Eで入力欄へ移動すると聞きました。でも、Hを押すと文字が入力されることがあります。

よーすけ

JAWSがページを読んでいる状態と、入力欄に文字を書く状態があるからです。まず「いまどちらの状態か」を意識すると、操作がかなり分かりやすくなります。

仮想カーソルでページを読む

Webページを読む場面では、JAWSの仮想カーソルを使います。この状態では、Hで次の見出し、Shift+Hで前の見出し、Eで次の編集フィールド、Shift+Eで前の編集フィールド、Bで次のボタンへ移動できます。Insert+F6は見出し一覧、Insert+F5はフォームフィールド一覧、Insert+F7はリンク一覧です。

フォームモードで文章を入力する

入力欄でEnterを押すなどしてフォームモードになると、Hは見出し移動ではなく文字の「h」として入力されます。入力を終えてページを読みたいときは、PCカーソルと仮想カーソルの状態を確かめます。環境によって自動フォームモードの設定も違うため、音や読み上げの変化を手がかりにしてください。

Freedom ScientificのJAWS公式キー一覧と、2026年6月更新のSUNY Empire State UniversityのChatGPT・JAWS操作ガイドにも、編集フィールドへの移動、フォームモード、見出しやフォーム一覧を使う流れが示されています。

ChatGPTでよく使うJAWS操作
目的 操作例 確認する読み上げ
入力欄を探す E、またはInsert+F5 編集、エディットなど
回答を探す H、Shift+H、Insert+F6 自分の発言や回答の見出し
ボタンを探す B、Shift+B、Tab 送信、添付、コピーなどの名前
内容を読み直す 上下矢印 回答本文を行ごとに確認

一文字ナビゲーションは、仮想カーソルでWebコンテンツを読める場面の操作です。ChatGPTデスクトップアプリや更新後の画面で同じキーが同じ働きをするとは限りません。部品の名前と現在の状態を読み上げで確かめることが先です。

入力、送信、回答確認を一つずつ進める

JAWSを使う会社員(架空)

最初の質問を送って、回答を読むまでの順番を具体的に教えてください。

よーすけ

最初はファイルを使わず、短い質問で「入力できる・送れる・回答へ戻れる」の三つを確認しましょう。長い依頼は、その往復ができてからで十分です。

1.入力欄を見つける

仮想カーソルでEを押すか、Insert+F5のフォーム一覧から編集フィールドを探します。Tabで移動する方法もありますが、画面内のボタンが多いと何度も押すことになります。目的に応じて使い分けます。

2.短い依頼を入力して送る

入力欄へ入ったら、「次の文を意味を変えず二つの短い文にしてください」など、答えを確認しやすい依頼を入れます。Enterが送信になるか、改行になるかは画面や設定で変わり得ます。最初は一文で試してください。

3.回答の先頭を探す

送信後、読み上げ位置が回答へ自動的に移らない場合があります。仮想カーソルへ戻り、HやShift+Hで自分の発言とChatGPTの回答を探します。見出し一覧のInsert+F6も便利です。回答の先頭へ移れたら、下矢印で一行ずつ読み直します。

4.動的な更新が読まれないとき

回答が表示されたはずなのに内容を見つけられない場合は、少し待って見出しを探し直します。SUNYのガイドでは、動的更新をJAWSが認識しない場合にInsert+Escapeで仮想バッファーを更新する方法も案内されています。改善しなければ、ページの再読み込み、別ブラウザー、デスクトップアプリとの切り替えを試します。入力中の文章は先にメモ帳などへ退避してください。

依頼を書く、送信と添付を確認する、回答を読む、成果物を開いて確かめるという四つの操作を分ける図
入力、送信、回答、成果物の確認を分けると、止まった場所を特定しやすくなります。

音声で長い回答を読む負担を減らす

JAWSを使う会社員(架空)

回答が長いと、途中で何の話だったか分からなくなります。

よーすけ

僕も、長い回答を最初から最後まで聞くより、見出しと結論を先に出してもらいます。「一度に一つずつ」と頼むのも有効です。

スクリーンリーダーでは、画面を一目で見渡す代わりに、情報を順番に聞きます。そのため、AIへの指示に「最初に結論」「H2相当の見出しを付ける」「手順は番号付き」「質問は一度に一つ」「表は3列以内」と加えると、読み返しやすくなります。

日本の全盲当事者が共同で記事を作った「全盲の二人がAIを第三の目にして記事を書いた話」では、AIが一度に5、6問を出すと音声で追いにくいため、「同じ問いを一問一答形式で」と追加した実践が紹介されています。音声入力の誤変換をAIに整えさせつつ、最後は本人が確認するという工夫も参考になります。

海外の全盲ユーザーによるOpenAI Developer Communityへの投稿では、ChatGPTの見出しやボタン名がスクリーンリーダーで分かりやすくなったという体験が報告されています。一方、画面は更新され続けます。過去に使えた移動方法を唯一の正解にせず、現在読み上げられる名前を確かめます。

ファイルは「添付できた」だけで終わらせない

JAWSを使う会社員(架空)

ExcelやWordを添付したら、すぐ「直してください」でいいですか?

よーすけ

僕は、最初に「まだ編集せず、読み取れた構造を説明して」と頼みます。対象を正しく認識できたと確認してから、コピーへ変更を加えてもらいます。

Excelなら、シート名、列見出し、数式のある範囲、空欄、判断できない点を先に列挙させます。その説明を自分の把握と比べてから、勤務時間の式や並べ替えなどを頼みます。既知の答えがある行で検算し、日付をまたぐ勤務や空欄も試します。

Wordなら、見出し構成、日付、料金、申込先を読み取らせます。文章が正しいことと、PDFにしたとき文字や表が切れていないことは別です。内容、数値、レイアウトを分けて確認します。

僕はChatGPT Businessを使い、インターネット調査からレポート作成、ホームページ編集、Webアプリ作成まで進めます。便利なのは、読み上げにくい広告の多いページを一つずつたどる代わりに、候補を集め、出典URL付きで整理させられることです。ただし、開催日や制度、料金などは元の公式ページを開き直します。

認定NPO法人タートルの2025年ICTサポートプロジェクト調査報告にも、ChatGPTやGeminiを使い、広告の多いブログを一つずつ読まずに情報収集しているという回答があります。同報告は、アプリによって複数のスクリーンリーダーを使い分ける実践も紹介しています。

よーすけが仕事でAIへ頼むときの確認
仕事 最初の依頼 人が確認する点
Excel シートと列、数式を説明 計算結果、空欄、例外
Word・レポート 見出しと根拠を整理 原文、数値、PDFの配置
Webリサーチ 候補と出典URLを一覧化 公式ページの日付と条件
Web編集・アプリ 変更内容と完成条件を指定 プレビュー、操作、公開前差分

国内外の利用者は、音声とAIをどう組み合わせているか

JAWSを使う会社員(架空)

ほかのスクリーンリーダー利用者は、どんな使い方をしていますか?

よーすけ

文章を質問するだけではありません。画像の説明、音声入力の修正、表計算、記事制作、開発まで広がっています。ただし、体験談は環境と目的を確認して読むことが大切です。

日本の「かしわもちかずとのブログ」は、JAWSのピクチャスマート機能を使い、画面全体、現在のウィンドウ、操作中の部品、画像ファイル、クリップボードの画像を説明させる実例を紹介しています。AIの説明に誤りが含まれる可能性も明記されており、「説明を得ること」と「正しいと判断すること」を分ける姿勢が参考になります。

海外の全盲ソフトウェアエンジニアによるCoding Blind Techでは、NVDAとキーボードで作業フォルダーを選び、Codexへの作業指示をファイルに保存し、ChatGPTデスクトップのCodex画面で結果をレビューする方法が紹介されています。スクリーンリーダーでコードを一行ずつ書く話だけではなく、AIエージェントへ条件を渡し、変更後の結果を確認する仕事の形です。

これらは「誰でも同じ操作で成功する」という証明ではありません。しかし、見出し、ボタン名、テキストファイル、変更履歴など、音声で確認しやすい情報を中心に作業を組み立てると、AIを仕事へつなげやすいことが見えてきます。

生成AIから、仕事を進めるAIエージェントへ

JAWSを使う会社員(架空)

生成AIとAIエージェントは、何が違うんですか?

よーすけ

生成AIは文章や画像などを作る働きが中心です。AIエージェントは、目的に向けて資料を読み、ツールを使い、複数の手順を進め、確認できる成果物まで持っていく使い方です。

たとえば「イベント案内の文章を作って」は生成AIへの依頼です。「公式サイトを調べ、日付と料金を表にし、Wordの案内を作り、出典一覧を付けて。ただし公開や送信はしないで」は、複数工程を進めるAIエージェント的な依頼です。

OpenAIのChatGPT Work公式ガイドでは、ファイル、プラグイン、承認されたツールを使い、情報取得から成果物作成まで進める使い方が説明されています。開発者向けのAgents公式ガイドでも、エージェントがツールを使い、複数段階の作業を進める仕組みが示されています。

進化の意味は、ボタンが一つ増えることではありません。これまで人が画面を行き来していた「検索、転記、ファイル編集、確認用の説明」を、目的と条件を伝えてまとめて進められる範囲が広がっていることです。全盲の僕にとって、視覚的な操作の回数を減らし、文章で指示と結果を確認できる価値は大きいと感じています。

一方で、エージェントが操作できる範囲が広がるほど、停止条件も必要です。「元ファイルを上書きしない」「送信・公開・削除はしない」「不明点は推測せず質問する」「変更点を一覧で返す」と先に伝えます。便利さと確認可能性を一緒に設計します。

操作が止まったら、どこで止まったかを伝える

JAWSを使う会社員(架空)

ChatGPTに操作方法を聞いても、画面にそのボタンがありません。どう質問し直せばいいですか?

よーすけ

「できない」だけではなく、環境、いま読まれた名前、できたところ、止まったところを伝えます。AIの説明が実画面と違うなら、その手順を続けないことも大切です。

「WindowsのChrome、JAWSを使用。入力と送信はできた。回答の見出しを見つけられない。現在は『送信ボタン』と読まれている。見出し一覧とフォーム一覧を使う確認手順を、一つずつ提案して」と書けば、切り分けやすくなります。

止まった操作を入力、添付、回答、ファイルのどこかに分け、環境と実際の読み上げを伝えて確認する図
止まった段階、利用環境、実際の読み上げを分けて伝えます。

With Blindの視覚障害者9人が生成AIと向き合った6か月の記録でも、AIが存在しない操作を説明した例や、Word・Excelの見た目が意図どおりにならなかった例を公開しています。具体的に答えるAIほど正しい、とは限りません。公式情報、実際の読み上げ、既知の答えで検証します。

自分の仕事をAIエージェントへ頼む練習をしたい方へ

JAWSを使う会社員(架空)

JAWSの基本操作ができれば、次はどんな練習をするとよいですか?

よーすけ

毎日少し時間がかかっている仕事を一つ選び、架空のデータで試してください。入力できたかではなく、最後の成果物を自分で確認できるかまでが練習です。

視覚障害者向けAI活用講座・応用編では、ChatGPTデスクトップアプリ、Work、Codexを使い、入力フォーム、受付メール、リマインダー、複数サイトの調査、Word資料などを完成させる全4回の講座を行います。

この講座はJAWSやNVDAの基本キーを一から学ぶ内容ではありません。Windowsとスクリーンリーダーを日常的に操作でき、ChatGPTの基礎を理解している方が、自分の仕事をどう分け、AIエージェントへどう頼み、どう確認するかを練習する応用編です。

2026年11月の月曜コースと水曜コースがあり、各4回、20時から21時30分までZoomで開催します。受講料は税込49,500円で、講座期間中のChatGPT Business利用料を含みます。定員、申込期限、必要なPC環境、Google DriveやOfficeの条件は講座ページで確認してください。参加環境に迷う場合は、同ページの20分無料相談も利用できます。

参考資料の確認日:2026年10月4日。国内外のブログやコミュニティ投稿は個人の利用例であり、製品仕様の根拠には公式資料を使用しています。図の内容は本文と代替テキストでも説明しています。

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この記事を書いた人
ようすけ

With Blindの視覚障がいがある、ちょっと面白い(本人談)男性

年齢:30代
出身地:大阪府
好きなもの:アイス、ポテチ、揚げ物、カルピス(←そのためちょい太りぎみ)

中学生の頃、病気で目が見えなくなるが、その後1人で世界一周旅行をするなど、人生をenjoyしている。
普段はブラインドサッカーを楽しむ。
夜は10時に寝て朝5時に起き、出勤途中でスタバでコーヒーを飲むという、なんちゃっておしゃれを楽しんでいる。

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