こんにちは。一般社団法人With Blindのよーすけです。
私は全盲の視覚障害者として、同じ視覚障害者が経験している共通の課題に立ち向かうため、一般社団法人With Blindのメンバーとして活動しています。
メディアで取材していただくことも多く、様々な財団からサポートをいただくことも増えてきましたので、これまでの歩みを整理しつつ、今考えていること、取り組みたいことをブログという形でまとめました。この記事を通じて、少しでも多くの方に共感していただければ嬉しいです。
見えないことへの不安
私は幼い頃から視界が徐々に狭まっていくことを自覚していました。
先天性の病気で進行する網膜色素変性症であることを両親からも聞いていましたので、全盲になる準備はできていたと思っていたつもりでした。
高校生の頃、人の顔や物がだんだんとぼやけて見え、最後は輪郭すら捉えられなくなりました。ある日、本を手に取りページをめくろうとしましたが、文字が全く読めませんでした。
そのとき、初めて「視覚障害」ということがどれだけ辛いことなのかを痛感しました。
【視覚以外で読書を楽しむ方法について書いています】
見えない世界に生きる私の挑戦
高校生になると視覚情報に頼ることができないため、日常生活や学業、就職活動において数々の困難に直面しました。
点字や音声教材を利用して学習していましたが、これらの教材が十分に揃っていないため、情報の遅れや不足に苦しみました。それでも、家族や友人、理解ある教師のサポートのおかげで、なんとか学校を卒業することができました。
大学も卒業できましたが、周囲に恵まれたからこそだと思っています。
就職活動で視覚障害の壁にぶち当たる
大学3年生の春、就職活動を始めたとき、新たな壁にぶつかりました。
視覚障害者に対する理解が不足している企業が多く、面接で「全盲であること」が理由で断られることが何度もありました。
企業側は視覚障害が理由だとは明確には言わないのですが、どうしても面接や障害を伝えると不合格になってしまいました。
ある企業からは、「業務を遂行するのに不安がある」「視覚障害者を雇う経験がない」という理由で不採用通知を受け取りました。
自分の能力を証明する機会すら与えられないことに強い挫折感を覚えましたが、その度に家族や友人の励ましが私を支えてくれました。
そんな中でも、私の可能性を信じてくれる人がいました。ある企業の採用担当者の方からは、「あなたの経験は、必ず社会で活かせるはずです。諦めずに頑張ってください」と励まされました。その言葉に勇気づけられ、私は視覚障害者でも活躍できる場を自分で作りたいと考えるようになりました。そして、多くの視覚障害者が抱えている「学びたい」という気持ちを叶えるために、「オンラインスクールWith Blind」を立ち上げました。
【就職活動での私の工夫を記事にしました】
「オンラインスクールWith Blind」が提供する、多様な学びの機会
「オンラインスクールWith Blind」では、プログラミング、ヨガ、語学、スマートフォンやパソコンを音声ソフトで使う方法など多彩な講座を用意しています。基礎科目だけでなく、大人も学べるようにし、子どもも基礎科目以外でも学びを楽しんでもらいたいという思いから多彩な講師と講座を用意しました。
これらの講座はすべてオンラインで受講できるため、自宅にいながら自分のペースで学習を進めることができます。
プログラミング講座が人気
特に力を入れているのがプログラミングの講座です。視覚障害者にとってプログラミングは高いハードルに感じられるかもしれませんが、適切な支援があれば誰でも学ぶことができます。
「オンラインスクールWith Blind」では、スクリーンリーダーと呼ばれる視覚障害者向けのソフトウェアの使い方やプログラミング言語の学習法を丁寧に指導しています。
ヨガで心身のリラックスを、そしてコミュニティの形成
ヨガの講座も人気です。ヨガは身体を動かすだけでなく、心もリラックスさせてくれる効果があります。
視覚障害者にとって、ヨガは外界から遮断され、自分自身と向き合うことができる貴重な時間です。
ヨガの他にも、様々なイベントを開催しています。オンライン上で同じ境遇の人たちと交流し、お互いを励まし合う場を提供することも検討しています。
学んでいる当事者が交流することで、お互いを刺激しあい、モチベーションを向上してもらうことを狙いとしています。
「オンラインスクールWith Blind」の立ち上げと奮闘
「オンラインスクールWith Blind」の立ち上げは、私にとって大きな転機となりました。特に印象的だったのは、プログラミングの講座を受講した生徒の声を聴いた時でした。
その生徒さんは、視覚障害が理由で通常のプログラミング教室を何社も断られ、現在の業務をプログラミングにより効率化したい、視覚障害者のためにアプリを開発したいという強い思いで、私たちの門をたたいてくれました。
講師とも馬が合い、今では楽しくプログラミングを学ばれています。
【立ち上げの切っ掛けなどを別記事でも書いています】
生徒と保護者の声:「オンラインスクールWith Blind」での学び
「オンラインスクールWith Blind」の生徒たちも、私と同様に多くの困難を乗り越えてきました。
ある生徒は、学校での学習が難しかったため、「オンラインスクールWith Blind」でのオンライン学習を始めました。
彼は、「このスクールのおかげで、自分のペースで学べるようになった」と話しています。
別の生徒は、「視覚障害があるために夢を諦めかけていましたが、『With Blind』での学びを通じて、自分の可能性に気づきました」と語ってくれました。
妊娠中の女性も「オンラインスクールWith Blind」のヨガ講座を受講しており、自宅で安全にヨガを楽しんでいるとのことです。
「自宅でヨガを楽しめることで、見えないことへの不安が払しょくできて、リラックスしながら体調を整えることができる」と喜んでくれています。
保護者からも、「他の塾では断られてしまい、途方に暮れていたところ、『With Blind』を見つけて本当に助かりました」という感謝の声が寄せられています。
視覚障害を持つ子どもたちが、自信を持って将来を見つめることができる世の中になれば、私たちにとって大きな喜びです。
注目度の高まりと社会への貢献
コロナ後、オンラインスクールへの関心が高まっています。「オンラインスクールWith Blind」はその中でも特に注目されており、「点字毎日」やNHKラジオ、他の多くのメディアで取り上げられています。
とてもありがたいことです。
これにより、視覚障害を持つ人々がアクセスできる学習の機会が広がり、多くの人々に希望を与える効果が期待できます。もちろん、視覚障碍がなくても、私たちの講座で学んでいただくこともできます。視覚障害について理解を深める講座も準備中です。
「オンラインスクールWith Blind」は、単なるオンラインスクールではありません。視覚障害者が自分らしく生きるためのサポート、そして社会への貢献を目指しています。
【メディア掲載実績】
一人ひとりの個性と可能性を伸ばす
- 個別指導を通して、それぞれの生徒のペースと目標に合わせた学習を支援します。
多様な学びの機会を提供
- プログラミング、ヨガ、語学だけでなく、様々な講座を開講することで、生徒たちの興味関心を広げ、可能性を広げます。
コミュニティの形成
- オンライン上で、同じ境遇の人たちと交流し、お互いを励まし合う場を提供します。
社会への理解促進
- 視覚障害者に対する社会の理解を深め、共生社会の実現を目指します。
将来的な展望とメッセージ
視覚障害者が直面する困難は、多くの場合、社会の理解不足に起因しています。私たちは、視覚障害を持つ人々が自立し、社会に貢献できる力を持っていることを証明したいと考えています。
これは大それた目標ではなく、当たり前のことを当たり前にするための最初のステップです。今まで誰も用意してくれなかった学びの場を、当事者の手で作り上げています。
「オンラインスクールWith Blind」のような学びの場が増えることで、視覚障害者に対する理解が深まり、雇用の機会が広がることを願っています。
【視覚障害と仕事について書いています】
【視覚障害と仕事の工夫について書いています】
協力依頼
「オンラインスクールWith Blind」は、今後も様々な取り組みを進めていきます。
- 海外展開: 海外の視覚障害者の方々にも、学習の機会を提供できるよう、海外展開を検討しています。
- 企業との連携: 企業と連携し、視覚障害者の雇用促進を図ります。
これらの課題を克服し、「オンラインスクールWith Blind」をさらに発展させていくために、皆様の温かいご支援をお願いいたします。
視覚障害があっても、やりたいことを諦める必要はありません。私たちは、一人ひとりが持つ無限の可能性を信じ、共に未来を切り開いていきます。あなたの力が必要です。一緒に、明るい未来を照らしましょう。
【寄付サイトはこちらから】
おわりに
この記事を通じて、私の体験と「オンラインスクールWith Blind」について知っていただけたら幸いです。視覚障害を持つ人々が、自分の夢を追い求め、実現できる未来を築くために、皆さんのご支援とご協力をお願い申し上げます。私たち一人ひとりの力が合わさることで、明るい未来が開かれると信じています。
【いろんなイベントも開催中】