アクセシビリティはなぜ大切なのか、その真実を徹底解説

「障害」・「障害者」
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「あなたが発信しているその情報、あなたが販売しているその製品、誰もがアクセスできるようになっていますか?」

今回は、アクセシビリティについて徹底解説します!!

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アクセシビリティという用語の意味

アクセシビリティ」という言葉があります。知ってる人もいるかもしれません。

利用しやすさ」、「情報のアクセスのしやすさ」を表す英単語です

障害がある人や高齢者であっても、使いやすくなっている製品に「アクセシビリティに配慮しています」などと表示されているものがあります。

また、ウェブアクセシビリティ、情報アクセシビリティといった感じで使われることも多いです。

アクセシビリティ=誰もが使える完全なものという幻想

アクセシビリティに配慮している製品や情報であっても、以下のような問題点があります。

Point 1:アクセシビリティ=完全なアクセスの保証ではない

アクセシビリティと標記されていたとしても、障害がある人や高齢者が、問題なく使いこなせるか、問題なく情報を得ることができるかというと、そうではないケースが多いです。

だからこそ、アクセシビリティの向上を継続していくことが大切です。

二つのアクセシビリティの不十分性に関する例を紹介しましょう。

Apple社の例

例えば、iPhoneには素晴らしいアクセシビリティ機能が備わっていますが、これを利用したからといって、視覚障害者がiPhoneを完全に使いこなすことができるかというと、そうではないんです。

例えば、写真を撮りたい対象物がカメラアプリのフレーム内に完全に治まっているかは、音声で確認することは不可能です。見えていると、一目で確認できますよね。

これは、見えるか見えないかで操作性に差が生じているものです。利用者の技術的問題ではないので、注意が必要です。

ゆーな
ゆーな

見える人は、簡単に被写体にフォーカスを合わせて写真を撮れるもんね。

よーすけ
よーすけ

そうだね。見えない人は見える人にサポートしてもらえば良いという解決方法もあるけど、それだと本質的な解決策にはならないよね。まさに、障害の社会モデルの考え方が重要なんだよね。

iPhoneはアクセシビリティに大変配慮されていますが、改善する余地が残されてもいます。

見える人のように、見えない人がiPhoneを使いこなすためには、もう少しハードルを乗り越えていく必要がありそうです。

Adobe社の例

アクセシビリティが不完全な例の二つ目です。

PDFファイルをよく目にしませんか

ワードなどのファイルをPDFにすれば、どのパソコン、どのスマホから見ても、レイアウトが崩れず簡単に閲覧することができるため、とても重宝されていますよね。

また、アクセシビリティに配慮されていることも、同社のページで紹介されています。

PDF のアクセシビリティ機能
Acrobat、Acrobat Reader および PDF のアクセシビリティ機能により、障害を持つユーザーが、スクリーンリーダー、拡大鏡、点字プリンターを使用して、または使用せずに PDF 文書を利用できます。
問題点

アクセシビリティには配慮しているといっても、視覚障害当事者からすると、PDFには以下のようなアクセシビリティ状の問題があります。

①文書や表の構造が把握しにくい

・エクセルなどのファイルに比べて、表の縦横の関係性や、表全体の構造を音声読み上げソフトで把握しにくい。
・ページ送りが音声画面読み上げソフトでスムーズにいかないため、ワードなどのファイルに比べて、長文を読むことに難義する。
・ブラウザでPDFファイルを閲覧すると、音声読み上げソフトで表や見出しを認識しないことがあり、内容が簡便に把握できない。

②編集機能が十分対応していない

・音声読み上げソフトに対応していないため、自力で重要な部分にマーカーを付けれず、周囲とその文書を共有するときに困る。
・音声読み上げソフトに対応していないため、入力フォームを自力で作製できない。

上記の例は、一見すると大したことのない問題に見えます。

ただ、官公庁が発表する文書や、論文・調査結果、その他の多くの文書にPDFが用いられており、それを読んだり、使ったりして考えることや行動することは以外に多いんです。

PDF形式のファイルには、視覚障害者などは本当に難義しています。

改善案

PDFファイルのアクセシビリティ上の問題を克服するための改善案を紹介します。

①テキストファイルを公開

官公庁の公開する文書は、PDFファイルのみではなく、文字だけを抜き出してテキストファイルなどで公開することも増えてきました。ただし、今は福祉関連の文書などに限られていて、運用は限定的です。

視覚障害者が必要な情報は、福祉関連の情報に限られないことは、言うまでもありません。

そこで、官公庁や情報発信者の方々には今後の改善が更に強く望まれますが、テキストファイル自体の公開は非常に効果的ですので、ぜひ実施していただきたいです。

②メタ文書ファイルをそのまま公開

テキストファイルでの公開が難しい場合でも、ワードやエクセルなどで作製している文書は、できる限りそのまま公開・共有してもらえると非常に助かります。音声読み上げソフトで対応していることが多いからです。

パソコンによってはレイアウトが崩れるという問題などはあるかもしれませんが、それは設定でどうにかなるはずです!

以上は、アクセシビリティに配慮しているからといっても、必ずしも十分に使いこなせるわけではない例でした。

そして、PDFファイルについては、アクセシビリティの改善案というよりは、代替的な改善案も紹介しました。

Point 2:アクセシビリティ=万人に対応しているわけではない

多様な人が利用することを意識し、アクセシビリティに十分配慮することは社会的責任ともいえます。

もっとも、誰もに対応した製品を販売することは不可能かもしれません。また、そのすべての人に大して情報アクセスを保証することも困難かもしれません。

だからこそ、アクセシビリティを意識し続けること配慮を継続することが大切です。

アクセシビリティの取り組みに終わりはないんですね!

情報を入手することは私たちの行動の源泉

ここで、突然ですが、アクセシビリティがなぜ大切なのかを解説したいと思います。

「自分の考えや行動の根源って何だろう」

皆さんは、こんなこと考えたことありますか?

しんば
しんば

今回は哲学の話なの?

よーすけ
よーすけ

違う違う(笑)難しい話ではないよ。最後まで読んでみて。

私たちの「こうしよう」という考えや、行動を形成しているルーツは情報です。

当たり前すぎて、何を言っているんだとなってしまいますかね…。

情報がある世界の例

例えば、選挙で投票する場面を考えます。

候補者がどんな考えで、どんな政策を打ち出しているのか、誰を指示しているのかなどといった情報は重要な判断材料ですよね。

結婚する判断をするにあたっても、相手の情報はとても重要なはずです。

普段の生活の場面でも、電気のスイッチやテレビのリモコンがどんな情報が書いてあって、どのように操作するかを知っていないと、単なるガラクタになってしまいますよね。

情報がない世界の例

極端な例ですが、もしあなたに何も情報がない=情報0とします。

あなたは、きっと、どんな判断も、どんな行動もできなくなってしまうはずです。

投票なんてもとより、選挙にだって行けないし、結婚だってできないでしょう。

テレビや電気の操作だってできない。

何も考える材料がないからです。

すなわち、誰もが情報に触れ、情報を入手できる環境は非常に大切なんです。

そのためにも、ウェブページを利用しやすくすること=アクセシビリティに配慮すること、iPhoneなどの製品のアクセシビリティ機能の向上を図ることは大変重要です。

情報入手に障害があることは見過ごされがち

誰もが情報を入手することは大切ですが、しばしばアクセシビリティ環境を整えることが軽視されがちです。

なぜでしょうか。恐らく情報入手に障害がある人たちの状況が意識されていないためです。

そもそもですが、情報入手は誰もが簡単に行えるものなのでしょうか。

多くの人は「Yes」と答えるはずです。

便利な世の中ですから、テレビや新聞、そしてインターネットなどを通じてたくさんの情報を効率よく入手できますよね。

「逆に『No』という理由なんて考えられない!」という声さえ聞こえてきそうです。

他方で、少数の人は「No」と答えるはずです。

情報を入手する過程で、何らかの障害があることを知っているからです。

もっとこのような人たちの立場や状況を社会に広めていく必要性がありそうですね。

まとめ=多様性をとり入れた行動が大切

アクセシビリティという考え方があり、アクセシビリティが果たす重要性を紹介しました。

そして、アクセシビリティという言葉は、その障害のすべてを解決したことを保証する目印ではなく、あくまで利用しやすさに配慮したことを表す言葉に過ぎないことも紹介しました。

この記事で最も伝えたかったことは、製品開発・販売側が多様性を意識し続けることの大切さ、そして情報発信者である私たちが、多様な人々を考慮し続けることの大切さです。

ゆふ
ゆふ

まさに「その情報や機器、誰もがアクセスできるようになっていますか?」と問い続けて改善を続けることだね。

また、当事者側も声を挙げ続けることも大切です。そうでないと、気が付いてもらえないことが多いからです。

今後もアクセシビリティに関する記事を紹介していきますね。

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With Blindでは視覚障害者を含むメンバーで「見えても、見えなくても」をコンセプトに日常や視覚障がいに関する記事を書いています。

その中でも「見える人へ」の記事はぜひ多くの方に読んでいただきたい記事になるので、多くの方に届くと嬉しいです!

この記事を書いた人

視覚障がい者を含む20-30代の仲良し友人夫婦がコロナをきっかけに自分たちでしか伝えれない内容や周りへ伝えたいこと、そして好きなことを自由に発信してるブログです!
主に「視覚障害について」、「夫婦のこと」、「好きなこと」について発信していきます。
「みえても、みえなくても」を合言葉に4人で楽しみながら、普段の仕事と並行してブログを運営しています♪

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