見えない私(よーすけ)が、映画「えんとつ町のプペル」を音声ガイド付きで鑑賞したら、細かな描写までもが理解できて、とても感動。
そこで、音声ガイドや字幕付きのバリアフリー映画について徹底解説することにします!
※映画「えんとつ町のプペル」の内容には触れていません
バリアフリー映画の鑑賞に必要なものは、スマホとアプリだけ♪
後は、映画館にGo!
視覚障害者=映画の視覚情報の入手が困難
よーすけって、映像は見えないけど、普通に映画も見に行ってるよね?
セリフがない場面とかではどうやって理解しているの?
今までは一緒に行く人に解説をお願いしてたよ。
今回は素晴らしいサービスを利用したので紹介するね。
「えんとつ町のプペル」は、セリフのない映像が多くあったから、視覚情報の入手が困難な視覚障害者にとっては厳しいかなと思ってたけど、とても重宝したんだよ!
バリアフリー映画の登場=ボランティアの支えが力!
まずは、このバリアフリー映画の背景を、法律面とテクノロジーの観点で説明します。
「障害者差別解消法」の制定が大きく影響
日本の「障害者権利条約」の批准や、「障害者差別解消法」が制定されたことにより映画の配給会社などにも「障害者への合理的配慮」が努力義務として求められたこともあって、バリアフリー映画が近年増加しました。
※障害者差別解消法とは、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的として、平成25年6月に制定された法律です。
また、スマホの普及もバリアフリー映画をより身近なものにしてくれました。
これまでも、映画に視覚障害者のために音声ガイドを付けたり、聴覚障害者のために字幕を付けたりする取り組みはありました。
ただ、音声ガイドや字幕等を映画につける取り組みの多くが、第三者であるボランティアの方々の善意に支えられていました。
ボランティアの方々のおかげで、映画を楽しむことができていた面はとても大きいですが、普段は別の仕事をしているボランティアの方々が行うバリアフリー化には限界があり、上映する映画館が限られていることも多かったのも事実です。
ところが、「障害者差別解消法」の制定により、映画の製作・配給側に対して(平たく書くと)、障害者が映画を楽しむことができるように配慮する努力をしなければならないとされました。
この影響もあってか、映画の製作当事者側は、バリアフリー映画に対するより高い意識が生まれました。
音声ガイドなども、映画監督がチェックするものも増え、見えなくても、聞こえなくても伝わる映画が増えてきたように感じます。
この取り組みが加速するためにも、音声ガイドや字幕がどの映画にも実装される社会の実現と、バリアフリーチェックを行う障害当事者などの仕事がプロフェッショナルの職種として確立することが望まれます。
見えない人の読書もそうだけど、ボランティアの方々の支えは本当に大きいね。
とてもありがたいことだね。
うん。ボランティアの人たちには本当に感謝しているよ。その一方で、これが仕事になればどんなに良いのかとも思うよ。
ボランティアだと、どうしても時間的制約も出てくるもんね。
テクノロジーの進歩も大きく影響
テクノロジーの進歩により、スマホ等を持参すれば、バリアフリー映画をどの映画館でも鑑賞することができるようになりました。
例えば、セリフのない場面やセリフだけでは理解しにくい状況を、アプリを立ち上げていれば、音声で具体的に「○○が歩いています。」などとタイムリーに教えてくれます。
映画館の方では、特に手当をする必要がなくなったのも大きな進歩です。
上映されている音声から場面を認識して、それに合った音声ガイドや字幕を流す仕組みなので、映画鑑賞中に何も操作する必要もないのが良いです!
この仕組みを利用したアプリは次で紹介するね。
映画館で状況を解説しているときは、周囲の人たちのことを気にしていたから、このアプリがあると便利だね!
昔は、ラジオの仕組みを利用して、上映のタイミングと同時に映画館に映画ガイドの音声を飛ばしたり、手話をその場でしなければならなかったりしたようです。
バリアフリー映画=視覚情報や聴覚情報を補うアプリが欠かせない
ここからは、映画をバリアフリーにしてくれるアプリの紹介です。
音声ガイドでは、細かな描写も理解でき、映画のセリフなどともかぶることもないので、安心して楽しめますよ。
いずれも無料のアプリなのでとても嬉しいです!!
ここではアップル端末のみのダウンロードを紹介しますね。
HELLO! MOVIE
UDCast
留意点① 2つのアプリの使い分け
アプリには、東宝系の映画が中心の「HELLO! MOVIE」と、それ以外の映画が中心の「UDCast」があります。
映画によって対応するアプリが異なるので、事前に調べておきましょう。
調べ方は後述します。
留意点② 映画館に行く前の準備
音声ガイドや字幕のデータなどは、ファイルサイズはそれほど大きくはないものの、事前にWi-Fi環境でアプリを通じてダウンロードしておくことをオススメします!
留意点③ 映画館で気をつけたいこと
映画館では、周囲の人たちに対しての配慮のため、自分だけが聞こえるようにするためのイヤフォンの持参と、明かりを抑えるスマホの画面設定を忘れずに!
両アプリの使い方を解説したページ
それぞれのアプリの使い方を紹介したページです。
アプリをダウンロードして、対象映画のデータを入手すれば準備は完了。
後は、映画館でそのアプリを開くだけ!
なのですが、細かい手順が知りたい方は以下を参考にしてみてください。
【HELLO! MOVIEの使い方】
【UDCastの使い方】
アプリが対応する映画の紹介
それぞれで対応する映画が異なりますので、映画館に行く前に必ず情報を確認しておきましょう!
【HELLO! MOVIE 対応映画一覧】
【UDCast 対応映画一覧】
なお、以前の記事で紹介した、劇場版「鬼滅の刃」もバリアフリー映画として、Hello! Movieに対応しているようですよ♪素晴らしい!!
まとめ=バリアフリー映画の進歩と見えてきた今後の課題
ここまで紹介した二つのアプリ。
見えなくても、聞こえなくても、セリフのない場面でも状況把握ができたり、文字で状況が理解できたりするので、映画をより身近に感じて楽しめるのでは。
一方、このバリアフリー映画を下支えするのはボランティアの力が大きいということも忘れないでいたいです。
まだまだバリアフリー映画は本数も限られているのが課題です。
いつの日か、誰もが全ての映画を障害なく楽しめて、プロフェッショナルの仕事として、音声ガイドの仕事や字幕をつける仕事を紹介できるといいな♪