これまでWith Blindでは、仕事シリーズとして、視覚障害があるよーすけの実体験をお届けしていました。
今回は、視覚障害のある皆さんの仕事の現状にフォーカスしてみます。
就職率や職業はどんなものがあるのか・・・
視覚障害当事者にとって、転職や就職の参考になる情報を記載しています。
視覚障害者の就職率
今回は、視覚障害者の就職率と職業について話すね。
大切なことだから、ちゃんと伝えたいんだ!
まずは下の表をみてね。
新規求職申込件数 | 就職件数 | 就職率 | |
軽度視覚障害 | 1,978件 | 873件 | 44.1% |
重度視覚障害 | 2,781件 | 1,167件 | 42.0% |
※上記は「平成30年度におけるハローワークを通じた障害者の職業紹介状況」のデータです
※わかりやすくするために、一部加工してあります
(友人)
新規求職申込件数に対しての就職件数が半分以下だね。
視覚障害者の就職は、難しいってことなのかな~。
ただ、障害が軽度か重度かでの差は、あまりないんだね。
軽度と重度の違いは色々な説がありますが、一番わかりやすいのが障害者手帳の等級で分けてるケースです。
1級と2級が重度で、3級以降が軽度。
等級の分け方は、視力や視野の数値で詳細に決まっているようですが、一言でわかりやすく説明するのは難しい・・・
イメージとしては、全く見えなかったり、光や影・輪郭が見えるレベルが1、2級。
視力を使って文字を読んだり書いたりできるレベルだと3級以降になるケースが多いです。
妥協すれば仕事はあるんだろうけど、正社員とか収入とかの条件を考慮すると、難しいんだよね。
そんな中、視覚障害者が仕事をすることについて、まだ様々な課題があり、就職率は高くないのが現状。
当事者の皆さんの就職状況を直接確認できていませんが、上記の表の値は、いろいろと注意点があります。
というのも、ハローワークには新規求職申込はするけど、就職はハローワーク以外でするという方も多く、その数値は反映されていません。(エージェントや、直接応募など)
エージェントや直接応募などの他経路も含めると、表の数値は若干変わるかもしれませんが、それでも、就職そのものに苦労している事実はあるよう。
企業や一緒に働く仲間の工夫次第で、軽度でも重度でも、仕事がこなせるということは以前の記事でも紹介したとおり。
就職という入口の時点でスムーズにいかないというのは、なかなか苦しい現実・・・
社会の改善ポイントであることは、間違いないと思います。
▼視覚障害者がどうやって仕事をしているのか、工夫点をまとめた記事は以下
視覚障害者の職業・職種
視覚障害者の職業について調べてみたんだけど、知らないことが多すぎてびっくり!
弁護士や教師として活躍している人もいれば、自営業の人もいたり、按摩鍼灸(あんましんきゅう)の職についている人が過半数以上だったり!
もっと驚いたのは、よーすけみたいに事務系の職種で働いている視覚障害者って、全体の1割程度しかいないんだね。
こんなにITが発展しているのに、意外だった。
障害者雇用も世の中で徐々に進められてはいても、視覚障害者の企業への就職が困難である状況をみてもわかる通り、まだまだ定着していないんだよね。
次は、職業内容についても紹介するね!
伝統的職業である按摩鍼灸(あんましんきゅう)
(妻)
按摩鍼灸(あんましんきゅう)って、視覚障害者が仕事にしているイメージが強いかも。
昔、家族で旅行へ行った時、おばあちゃんが旅館でマッサージを頼むと、視覚障害のある方が来てくれたイメージがあって・・・
視覚障害者の仕事でも、按摩鍼灸の仕事は伝統的職業って言われるんだよ。
この職種は、重度の視覚障害者で7割、全体でも4割程度が就いているって言われてる。
あと、視覚障がい者以外の人がこの職種に参入しにくいように、法律で昔から保護もしてるんだよね。
だから、逆に言えば、この職種に視覚障がい者は就きやすくなってるんだ。
視覚障害者の仕事の中で、伝統的職業と言われている『按摩鍼灸(あんましんきゅう)』。
視覚障害者がおこなう按摩は国家資格となり、障害がある人の中でも、試験を突破した人だけが就くことができます。
盲学校など視覚障害者に関連する機関では、この資格が取れるようにもなっています。
視覚障害者の場合は、その資格を活かして自分で開業したり、病院や介護施設や治療院に勤めたり、企業で社員の健康維持のために働いたりする人が多いようです。
しかし、法律での保護・規制もかけられている一方、街中の有資格”ではない”マッサージ店がむやみに増えてしまい、困っている声があるのも事実。
視覚障害者の職と収入を安定させるためのはずが、健常者の違法店舗が増え、規制の目的がなされていないことに。
このような事例に関する裁判もあるようです↓
視覚障害者が事務系の職業にチャレンジする理由
(友人)
よーすけは、事務系の仕事をしてきてるよね。
按摩鍼灸を選ぶ人も多い中で、それを選んだ理由ってあるの?
視覚障害者の中でも、マイノリティーな分野に挑戦することが面白いって感じてさ。
だから、1割しかいない事務系の職種を目指したんだよね。
それにその分野を開拓すれば、もっと視覚障害者の仕事の選択肢も広がると思ったんだよ。
按摩鍼灸を選ぶ人が多い中、あえて視覚障害者があまり就いていない事務職を選択したよーすけ。
事務系職種は企業や行政機関に雇用されるケースが大半です。
その中で、障害者雇用について、以下の2種類あると考えています。
①法律で求められていて、とりあえず雇用してとりあえず働いてもらうケース
②多用な人材が戦力になると心の底から考え、障害者を雇用するケース
・・・どちらか健全かはわかりやすいですよね?
なるべく多くの企業に②の方向で障害者雇用をしてもらえるように、実績を積み重ねたり、アピールすることによーすけは挑戦しています。
日々の仕事の中でも「よーすけが同僚でいてくれてよかった」って周囲に感じてもらえるような働き方をすることで、障害者雇用に対する考え方を変えていく大事な一歩。
地味ですが、これが1番の近道だと思っています。
同じ事務系職種の視覚障害者の方も、そういう思いで働いている人もいるはず。
もちろん、いろいろと葛藤はある上で。
まとめ:多様性の中の障害者雇用
多様性を重視し、障害者雇用も進められている最中ではありますが、それでも、事務系職種などの見える人と変わりない職業に就く人は1割。
割合は少ないですが、よーすけのようにきっかけや自身の気持ちもあって、チャレンジする方もいるようです。
視覚障害者の就職率は、公表されている数値だけでは判断が難しい部分はありますが、伝統的な職業や、法律での保護、そしてその他の職種に挑戦する視覚障害者もいることがわかりました。
よーすけの経験からもわかるように、『配慮』をすることで、共に仕事をすることは可能なんですね。
そうしていくことで、按摩鍼灸など、視覚障害者が多数をしめる職業はもちろん、見える人と変わらない職業でも、視覚障害者が活躍できる場が増えていきそう。
今後もこの仕事シリーズでは、様々な視点から視覚障害者の仕事について取り上げていきたいと思います。
多様性が広がる現代、ぜひ視覚障害者の仕事についても、知ってもらえたら嬉しいです。
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