第1弾|地図も歴史も、指先でわかる。サイトワールド2026で考えた「触って学ぶ」ことの可能性

白杖を持つ全盲の男性が、展示会場で日本の立体地図と富士山などの模型に両手で触れて学んでいるイラスト 学習・読書
サイトワールド2026で出会った「触って学ぶ」技術のイメージ。生成AIで作成。

地図を「見る」のではなく、指先で旅をする。そんな学び方を、サイトワールド2026で体験しました。

こんにちは。一般社団法人With Blindのよーすけです。私は全盲です。2026年10月23日、東京・錦糸町のすみだ産業会館で開かれたサイトワールド2026へ行ってきました。

サイトワールドは、視覚障害のある人の暮らし、学び、仕事、移動を支える製品や研究が集まる総合イベントです。2026年は10月22日から24日まで開催。見るだけではなく、触れて、聞いて、担当者と話せるのが大きな魅力です。

白杖を持つ全盲の男性が、展示会場で日本の立体地図と富士山などの模型に両手で触れて学んでいるイラスト
サイトワールド2026で出会った「触って学ぶ」技術のイメージ。記事内容をもとに生成AIで作成したWith Blindのオリジナル画像です。
ウィズブラ君
ウィズブラ君

展示会で、一番「おおっ!」となったものは何だった?

よーすけ
よーすけ

3Dプリンターで作られた立体地図だね。北海道や千葉県の形を、指で外周からゆっくり確かめた。説明で聞く「大きい」「細長い」が、手の動きとして分かったんだ。

日本地図を触ると、知っていたはずの地理が変わった

学校の地図は、多くの場合、紙や画面に描かれた平面の情報です。目で見れば広い範囲を一度に捉えられますが、触覚では、指先で部分をたどりながら頭の中に全体像を組み立てます。

だから、触地図は印刷物をそのまま盛り上げればよいわけではありません。境界線、海岸線、高低差、方位、地名などから、学ぶ目的に必要な情報を選び、触って区別できる形に整理する必要があります。

触覚教材を分かりやすくする3つの工夫

  • 情報を絞る:一度に詰め込みすぎない
  • 違いを強調する:高さや線の種類を指で区別しやすくする
  • 説明を組み合わせる:触る順番や縮尺を言葉でも補う

今回の触地図や3D教材は、公式出展情報では新潟大学 工学部 渡辺研究室の研究展示です。同研究室は、都道府県や市区町村の触地図、触知パズル、3Dプリンターによる教材模型などを紹介していました。

出典:サイトワールド2026 出展企業情報(公式)「新潟大学 工学部 渡辺研究室」
リンク先の内容:触地図、触知パズル、3Dプリンター教材模型など、2026年の研究展示内容。

ザビエルも富士山も、「形」から学べる

ウィズブラ君
ウィズブラ君

細かく、本物そっくりに作るほど分かりやすいの?

よーすけ
よーすけ

必ずしもそうじゃない。細かすぎる凹凸は、指ではかえって分けにくいんだ。人物なら服や持ち物の特徴を整理し、山なら高低差を少し強める。模型の見栄えより、「触った人が何を理解できるか」が大事だよ。

会場では、フランシスコ・ザビエルのような歴史上の人物や、富士山の地形を立体で表す話も聞きました。写真の中には、顔立ち、髪形、衣服、持ち物、背景など、多くの情報が一度に入っています。立体教材は、そのすべてを置き換えるのではなく、言葉だけではつかみにくい形の関係を、自分の手で確かめる入口になります。

3Dプリンターなら、同じデータから教材を繰り返し作れます。一方で、造形データの作成、材料、仕上げ、そして視覚障害当事者が実際に触って検証する工程も必要です。会場で聞いた価格は参考情報にとどめ、正式名称や現行価格が確認できないものは、この記事では購入情報として断定していません。

水を注ぐ、色を選ぶ、時刻を知る。暮らしにも別の入口を

会場には、一定の水位になると音などで知らせる道具、衣服などの色を音声で伝える機器、音声時計や触読時計もありました。どれも派手ではありません。でも、「自分で確かめられる」場面を少しずつ増やしてくれます。

ウィズブラ君
ウィズブラ君

時刻なら、スマホに読んでもらえば十分じゃない?

よーすけ
よーすけ

スマホが便利な人もいる。でも、会議中や電車内では音を出しにくいよね。触読時計なら、針や目盛りをそっと触って確認できる。反対に、触って読むのが難しい人には音声時計が合う。正解は一つじゃないんだ。

視覚障害といっても、全盲か弱視か、点字を使うか、スマートフォンが得意かによって、使いやすい方法は変わります。音声、触覚、拡大表示、点字を選べることそのものが、アクセシビリティです。

点字と音声は、どちらか一方ではない

公式出展情報には、ケージーエスの小型点字端末「ブレイルメモFit16」や点字ディスプレイ「NextTouch40」、シナノケンシのDAISY再生機「PTR3PLUS」、シンカの立体イメージプリンタ「イージータクティクス」なども掲載されています。

  • 点字:文字を能動的に読み、表記やスペルを確認しやすい
  • 音声:長い文章を効率よく聞きやすい
  • 拡大表示:残っている視力を生かせる
  • 触知図:位置関係や形を手で確かめられる

一つの方法ですべてを解決するのではなく、その日の場面や本人の得意な方法に合わせて組み合わせる。展示会で実機を試し、「自分にはどれが合うか」を比べられることには大きな意味があります。

道具があるだけでは、学びは始まらない

ウィズブラ君
ウィズブラ君

学校に立体地図が一つあれば、それで学びやすくなる?

よーすけ
よーすけ

棚にしまわれたままでは意味がないよね。先生が使い方を知り、子どもが十分に触れ、分からないことを質問できる。道具と人がそろって、初めて「自分で発見する学び」になると思う。

情報保障というと、「資料を渡したか」「読み上げたか」に目が向きがちです。でも本当に大切なのは、受け取った人が理解し、考え、質問し、自分の判断につなげられたかどうかです。

まとめ|触れることは、自分で発見すること

触地図、立体教材、水位を知らせる道具、色彩識別、時計、点字や読書の機器。共通しているのは、目で見ることを前提にした情報へ、別の入口を用意していることです。

新しい技術を増やすこと自体が目的ではありません。学びたいことを学び、暮らしたいように暮らせる選択肢を増やすこと。そのために、作る人と使う人が一緒に試せるサイトワールドは、とても大切な場所だと感じました。

次回は、白杖だけでは届きにくい情報を補うセンサー、AI、触覚ナビゲーションを紹介します。


参考にした公式情報

※本文の会話は、よーすけの現地体験を読みやすく再構成したものです。逐語録ではありません。価格・発売状況は変わる可能性があるため、正式な購入情報は各提供元でご確認ください。記事内の画像は生成AIで作成したオリジナル画像であり、第三者の写真は転載していません。

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