視覚障害者やロービジョンの方がスマートフォンを使うと、文字を読む、周囲を確認する、目的地へ移動する、本や映画を楽しむといった場面の選択肢が大きく広がります。本記事では、当事者の利用情報や最新の配信状況を確認し、2026年に役立つアプリ・標準機能を用途別にまとめました。
料金・対応状況は2026年8月29日時点です。無料アプリでも一部機能、通信料、書籍代、サブスクリプションが別途必要な場合があります。購入前に必ずApp StoreまたはGoogle Playの表示を確認してください。
まず入れておきたい定番アプリ5選
- 見え方を音声で確認したい:Seeing AI
- 人やAIに映像を説明してもらいたい:Be My Eyes
- 屋外の歩行を支援してほしい:Eye Navi
- Androidで文字・物体を認識したい:Google Lookout
- DAISY図書を読みたい:ボイス オブ デイジー5
スマートフォンの基本アクセシビリティ
VoiceOver
料金:無料(iPhone・iPadに標準搭載) 対応:iOS・iPadOS
画面上の文字やボタンを音声で読み上げ、ジェスチャーで操作できるスクリーンリーダーです。アプリを追加しなくても「設定→アクセシビリティ→VoiceOver」から利用できます。
TalkBack
料金:無料(対応するAndroid端末に標準搭載) 対応:Android
Googleのスクリーンリーダーです。画面の読み上げ、点字ディスプレイ、ジェスチャー操作に対応します。端末メーカーによって設定画面や操作が少し異なります。
拡大鏡/Magnifier
料金:無料(標準搭載) 対応:iOS・iPadOS
カメラで文字や物を拡大し、色・コントラストを調整できます。対応端末ではドアや人、文字の検出も利用できます。弱視の方はホーム画面やコントロールセンターに登録しておくと便利です。
文字・物・景色を知るAI/OCRアプリ
Seeing AI
料金:無料 対応:iOS・Android
Microsoftの視覚支援アプリです。短い文字、文書、製品、通貨、人物、写真などをカメラで認識し、音声で説明します。AIの説明は誤ることがあるため、薬・契約・火気など安全に関わる判断には単独で使わないでください。
Be My Eyes/Be My AI
料金:無料 対応:iOS・Android
ボランティアとのビデオ通話と、画像をAIが説明するBe My AIを使えます。色、商品のラベル、家電の表示、写真の内容確認などに便利です。個人情報や暗証番号が映らないよう注意しましょう。
Google Lookout
料金:無料 対応:Android
Googleの視覚支援アプリです。テキスト、文書、食品ラベル、通貨、周囲の物などをカメラで認識します。Android端末の機種・地域・言語により利用できるモードが異なる場合があります。
Envision AI
料金:無料ダウンロード(アプリ内課金あり) 対応:iOS・Android
文字、物体、人物、場面などを認識して読み上げます。長文書類の読み取りや画像の説明にも向きます。無料範囲と有料機能はストアの最新表示を確認してください。
Supersense
料金:無料ダウンロード。iOSの表示例:月額200円、年額2,700円、買い切り15,000円 対応:iOS・Android
文書、郵便物、通貨、バーコード、周囲の物などを認識する視覚支援アプリです。料金プランはOSやキャンペーンで変わる場合があります。
Cash Reader
料金:無料ダウンロード(アプリ内課金あり) 対応:iOS・Android
カメラに紙幣を映すと額面を読み上げます。複数通貨に対応しますが、日本円の対応状況や無料範囲はストアで確認してください。
PiccyBot
料金:無料ダウンロード。月額400円、年額3,000円、買い切り4,000円 対応:iOS・Android
写真や動画の内容をAIが音声で説明し、追加質問もできます。画像や動画を外部サービスへ送る場面では、個人情報や他人の顔が含まれないか確認しましょう。
これなにメモ
料金:無料 対応:iOS
物に付けた専用タグをスマートフォンで読み取り、あらかじめ録音した音声メモで識別するアプリです。衣類、食品、薬、カード類の整理に役立ちます。タグの入手方法と現行OSへの対応は提供元で確認してください。
移動・歩行・場所を知るアプリ
Eye Navi(アイナビ)
料金:基本機能無料。プレミアム月額1,000円(税込、14日間トライアルあり) 対応:iOS
AIによる物体検出と経路案内を組み合わせた日本発の歩行支援アプリです。プレミアムではマイルート、見守り、AIチャット、音声付き歩行記録などを利用できます。白杖や盲導犬の代わりではなく、補助情報として使います。
NaviLens
料金:無料 対応:iOS・Android
離れた場所や斜め方向からでも専用のカラーマーカーを検出し、方向や距離、登録情報を音声で案内します。駅や公共施設など、マーカーが設置されている場所で特に便利です。
BlindSquare
料金:6,000円 対応:iOS
GPSと地図情報を使い、周囲の施設や交差点などを音声で知らせる視覚障害者向けナビゲーションアプリです。位置情報には誤差があるため、道路横断や障害物の判断は白杖・盲導犬・周囲の音を優先してください。
Lazarillo Accessible GPS
料金:無料 対応:iOS・Android
現在地周辺の店舗、道路、交差点などを音声で知らせ、目的地までのルート探索もできるアプリです。日本語に対応していますが、地域によって施設情報の充実度が異なります。
Appleマップ/Googleマップ
料金:無料 対応:iOS・Android
一般向け地図アプリも、徒歩経路、公共交通、周辺施設検索に役立ちます。スクリーンリーダーで操作できますが、歩道・点字ブロック・工事などが反映されない場合があるため、単独で安全を保証するものではありません。
信号・交差点を確認するアプリ
Oko(交差点と地図)
料金:無料 対応:iOS
iPhoneのカメラとAIで歩行者用信号を認識し、音声・振動・画面表示で状態を伝えます。日本のApp Storeでも配信され、地図とルート案内も利用できます。ただし、カメラの向き、逆光、遮蔽物、複数信号の取り違えで誤認識する可能性があります。アプリの通知だけで横断を決めず、車の音、道路の向き、音響信号、周囲への確認を併用してください。
信GO!
料金:無料 対応:iOS・Android
高度化PICS対応信号機から歩行者信号の情報を受け取り、音声や振動で伝えるアプリです。使えるのは対応交差点に限られ、スマートフォンのBluetoothや位置情報設定が必要です。対応場所でも、必ず現地の交通状況と音を確認してください。
読書・映画・情報を楽しむアプリ
ボイス オブ デイジー5
料金:3,000円 対応:iOS・iPadOS
DAISY 2.02、DAISY 3、アクセシブルEPUB 3に対応する読書アプリです。再生速度、しおり、本棚、ページ移動に対応し、VoiceOverでも操作できます。
Kindle
料金:アプリ無料(電子書籍は作品ごとに購入) 対応:iOS・Android
Amazonの電子書籍アプリです。文字サイズ、背景色、読み上げなどを利用できます。ただし出版社や本の形式によって読み上げに対応しない場合があります。
Apple Books/Google Play ブックス
料金:アプリ無料(電子書籍は作品ごとに購入) 対応:iOS・Android
電子書籍やオーディオブックを購入・管理できます。読み上げや表示調整の可否は本の形式や権利設定によって異なります。
UDCast
料金:無料 対応:iOS・iPadOS
対応映画の音声ガイドや字幕を、上映中の音に同期して再生します。映画館へ行く前に作品データをダウンロードし、イヤホンと端末の動作確認をしておくと安心です。
HELLO! MOVIE
料金:無料 対応:iOS
映画館の上映音に同期し、対応作品の音声ガイド、字幕ガイド、副音声コメンタリーを再生します。音声ガイドを利用する場合はイヤホンを準備し、事前に動作確認を行いましょう。
決済・ネット利用・日常管理
PayPay
料金:無料(支払い時の通信料・利用代金は別) 対応:iOS・Android
QRコードやバーコードで支払える決済アプリです。金額と支払先を読み上げで確認し、必要に応じて店員へ画面の向きを案内してもらいます。送金時は相手と金額を必ず再確認してください。
280blocker
料金:買い切り800円。プレミアム月額100円/年額900円、詐欺対策月額300円/年額2,700円 対応:iOS・iPadOS・Mac
Safariの広告や追跡を減らし、読み上げ中に広告へフォーカスが移る負担を軽くできます。サイトの表示やログインに影響する場合は、そのサイトだけ一時的に無効化します。
Vi-log
料金:無料 対応:Webアプリ
視覚障害者や支援者が、アプリ、商品、施設などのアクセシビリティをレビューするサービスです。見え方の属性別に評価を確認でき、購入や利用前の参考になります。
生成AIアプリは視覚障害者にも便利
生成AIは、音声入力とスクリーンリーダーを組み合わせると、長文の要約、メールの下書き、言い換え、表の整理、画像の説明などに使えます。写真を説明させる場合は「全体→文字→位置関係→不確かな点」の順に答えるよう依頼すると確認しやすくなります。ただし、回答や画像説明には誤りがあるため、契約、医療、薬、金銭、移動の安全判断は公式情報や人の確認と組み合わせてください。
ChatGPT
料金:無料ダウンロード。ChatGPT Plusは月額3,000円(App Store表示) 対応:iOS・Android・Web
音声会話、文章作成、要約、画像の説明、ファイルの整理などに使えます。VoiceOverやTalkBack、音声入力と組み合わせれば、画面を見続けずに質問や推敲ができます。写真では「商品の名前と賞味期限を読み、読めない箇所は推測しないで」と具体的に頼むのがコツです。
App Store / Vi-logのChatGPTレビュー
Google Gemini
料金:無料。Google AI Plus月額725円、Google AI Pro月額2,900円(公式Web表示) 対応:iOS・Android・Web
Gemini Liveの音声対話、文章の要約、画像の説明、Googleサービスと組み合わせた情報整理に使えます。Androidでは端末アシスタントとして使える場合があり、iPhoneでは一部の端末操作に対応しません。
Vi-logのレビュー / 公式料金ページ / App Store
Microsoft Copilot
料金:無料ダウンロード(アプリ内購入あり)。Microsoft 365 Basic月額260円、Personal月額2,100円、Premium月額3,200円など 対応:iOS・Android・Windows・Web
音声チャット、文章やメールの下書き、要約、画像生成、Microsoft 365の文書整理に役立ちます。職場のファイルを扱う場合は、組織の情報管理ルールと利用アカウントを確認してください。
ScribeMe
料金:基本利用・有料機能は公式の最新表示を確認 対応:スマートフォン・Meta AIグラス
カメラ映像をもとに、周囲の状況や文字などを継続的に説明する視覚支援サービスです。Meta AIグラスとの連携により、手でスマートフォンを構え続けずに説明を受けられる場面が増えています。説明の遅延や誤認識があり得るため、安全確認には人、白杖、盲導犬、音響信号などを併用してください。
2026年注目:Meta AIグラスと連携アプリ
Meta AIアプリ(Metaグラス管理)
料金:アプリ無料。グラス本体は別売り 対応:iOS・Android
Ray-Ban Meta(Gen 2)とOakley Metaは2026年5月21日に日本発売されました。Meta Glassesは同年8月26日に日本発売され、価格は50,600円からです。アプリで初期設定や端末管理を行い、カメラ・スピーカー・Meta AIをハンズフリーで利用します。撮影時はキャプチャLEDが点灯しますが、周囲の人のプライバシーにも配慮が必要です。
Be My EyesのMetaグラス連携
料金:Be My Eyesは無料。対応グラスは別売り 対応:Meta AIグラス・スマートフォン
日本でも、Meta AIグラスからBe My Eyesの視覚支援へつなげる連携が始まっています。スマートフォンを手で構えず、グラスのカメラ映像を使って支援を受けられる点が特徴です。機能は段階的に提供されるため、Meta AIアプリとBe My Eyesを最新にし、アカウントの利用可否を確認してください。
ScribeMeのMetaグラス連携
料金:サービスの最新プランを要確認 対応:Meta AIグラス・スマートフォン
ScribeMeもMetaグラスとの連携に対応し、目の前の状況を継続的に説明する用途が広がっています。AIの説明には遅延や誤認識があり得るため、道路横断、火気、薬、金銭など重大な判断には使わず、必要に応じて人の確認を併用してください。
視覚障害者が遊びやすいゲームアプリ
With Blindのワードウルフ実践記事やYouTubeで紹介される当事者の遊び方、アクセシブルゲームの情報を踏まえると、選ぶ基準は「VoiceOverでメニューと状態が読める」「音だけで位置や結果が分かる」「会話が中心で画面を見る速さが勝敗を決めない」の三つです。アップデートで読み上げが変わることがあるため、開始前にお題、投票、残り時間、設定画面を試しましょう。
みんなでワードウルフ
料金:無料 対応:iOS・Android
会話の中から少数派を探すゲームです。With BlindでもZoomを使って繰り返し遊んでおり、面白さの中心は表情ではなく言葉選びと間です。VoiceOverでお題を確認しにくい場合は、進行役が個別メッセージやイヤホンで伝えます。アプリの更新が長く止まっている版は最新OSで動かない可能性があります。
ワンナイト人狼 for mobile
料金:無料 対応:iOS・Android
短時間で遊べる人狼ゲームです。役職確認を読み上げられるかを事前に試し、難しい画面だけ進行役が補助します。投票前に全員の発言時間をそろえると、視覚情報に頼らない推理を楽しめます。
Audio Game Hub
料金:無料ダウンロード(アプリ内課金あり) 対応:iOS・Android
音を中心に遊ぶ複数のミニゲームを収録しています。音の方向やタイミングが重要なので、ステレオイヤホンがおすすめです。更新によって音声案内に不具合が出たという報告もあるため、最新レビューとバージョンを確認してください。
Vi-logのレビュー / 公式サイト / App Store
A Blind Legend
料金:無料ダウンロード(配信地域・課金はストアで確認) 対応:iOS・Android・Windows
立体音響とジェスチャーで進む音声アクションアドベンチャーです。画面を見ない前提で設計され、ヘッドホンで敵や周囲の方向を聞き分けます。
Dice World/Game World
料金:無料ダウンロード(アプリ内課金あり) 対応:iOS
VoiceOverで遊びやすいサイコロ・カード系ゲームとして、視覚障害者コミュニティで長く挙げられているシリーズです。オンライン対戦では、ルールとチャット設定を先に確認しましょう。
Sonar Islands/Swordy Questなど
料金:価格・配信状況はストアで確認 対応:iOS
Appleのアクセシブルゲーム特集には、VoiceOver対応のSwordy Quest、音を中心に遊ぶSonar Islands、Blind Driveなどが掲載されています。ゲームごとに日本語対応、必要OS、イヤホンの要否が違うため、購入前にアクセシビリティ欄と最新レビューを確認してください。
選ぶときのチェックポイント
- 自分の端末とOSに対応しているか
- VoiceOver/TalkBackで主要ボタンを操作できるか
- 無料範囲と自動更新される有料プランを確認したか
- カメラ画像、位置情報、連絡先など、送信されるデータを理解したか
- AIやGPSの結果を安全に関わる判断へそのまま使わないか
- 外出前に自宅や安全な場所で練習したか
まとめ
視覚障害者向けアプリは、単独で何でも解決する道具ではありません。標準のVoiceOverやTalkBackを土台に、Seeing AIやBe My Eyesで視覚情報を補い、Eye Naviや地図アプリで移動を支え、読書・映画アプリで楽しみを広げるというように、目的に応じて組み合わせるのが実用的です。価格や機能は変更されるため、本記事も継続して更新します。


