視覚障害者の就労先「ヘルスキーパー」とは?資格・仕事内容・企業導入【2026年版】

視覚障害のあるヘルスキーパーが企業の施術室で従業員へ問診する様子 仕事・キャリア

ヘルスキーパーとは、企業などに雇用され、従業員の健康維持を目的に、あん摩・マッサージ・指圧などを行う専門職です。一般に「企業内理療師」とも呼ばれ、視覚障害者の専門性を生かせる職域の一つとして知られています。

ただし、ヘルスキーパーという名称だけで仕事内容や雇用条件が決まるわけではありません。施術だけを担当する職場もあれば、予約管理、健康情報の提供、利用状況の集計、職場環境改善への協力まで担う職場もあります。応募前に、資格、業務範囲、施術人数、設備、通勤方法、支援技術への対応を確認することが重要です。

この記事では、ヘルスキーパーの仕事内容、必要な国家資格、就職までの流れ、視覚障害者が働く際の合理的配慮、企業が導入するときの準備、キャリアの広げ方を2026年の公式情報と雇用事例をもとに解説します。進路を考える学生、転職を検討する資格者、採用を考える企業担当者の双方に役立つ実践ガイドです。

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ヘルスキーパーとは

ヘルスキーパーは、会社の中に設けられた施術室などで、従業員へあん摩・マッサージ・指圧を提供する働き方を指すことが一般的です。法律上の独立した資格名ではなく、企業内で働くあん摩マッサージ指圧師の職種名・呼称として使われています。

勤務先は一般企業、グループ会社、健康管理部門、福利厚生サービスを提供する事業者などさまざまです。正社員、契約社員、嘱託、短時間勤務など雇用形態も職場によって異なります。「ヘルスキーパー求人」という言葉だけで判断せず、雇用契約と実際の業務を確認してください。

比較企業内ヘルスキーパー治療院・施術所訪問・出張
主な利用者勤務先の従業員一般の患者・利用者自宅・施設などの利用者
働く場所原則として同じ事業所内店舗・施術所複数の訪問先
業務の特徴福利厚生・健康管理との連携受付、会計、集客を含む場合がある移動、訪問計画、記録が多い
視覚障害者の確認点通勤、社内移動、予約システム受付動線、会計、顧客対応移動支援、交通、訪問先の環境

ヘルスキーパーの主な仕事内容

1.従業員への施術

肩、首、腰などの状態や本人の訴えを確認し、資格の範囲内で施術を行います。施術前には体調、既往歴、痛みの場所、医療機関の受診状況などを確認し、施術が適切でない可能性がある場合は無理に行いません。

「福利厚生だから気軽に受けられる」という利点がある一方、安全性は治療院と同様に重要です。企業は有資格者であることを確認し、施術者は記録、衛生管理、緊急時対応を職場のルールに沿って行います。

2.問診・施術記録

利用者の体調と施術内容を記録します。記録には健康情報が含まれるため、閲覧権限、保存期間、利用目的を明確にします。視覚障害のある施術者が使う場合は、予約・記録システムがスクリーンリーダーや画面拡大で操作できるかが重要です。

3.予約・利用者管理

予約受付、キャンセル対応、利用回数の集計を担当する場合があります。Outlook、Googleカレンダー、社内システム、Excelなど、職場ごとに使う道具が異なります。採用時には、施術技術だけでなく、実際の予約業務を支援技術で操作できるか確認します。

4.衛生・備品管理

タオル、シーツ、消毒用品などの在庫を確認し、ベッドや施術室を清潔に保ちます。視覚だけに頼らない在庫管理として、置き場所の固定、触覚ラベル、バーコード・音声アプリ、定数管理などを組み合わせられます。

5.健康情報の提供・関係部署との連携

職場によっては、セルフケア、姿勢、休憩方法などの情報提供や、産業保健スタッフ・人事との連携を行います。ただし、診断や治療の判断を資格範囲を超えて行わないこと、利用者の個人情報を本人の同意なく共有しないことが大切です。

必要な資格:あん摩マッサージ指圧師

業として、あん摩、マッサージ、指圧を行うには、原則として国家資格である「あん摩マッサージ指圧師」の免許が必要です。厚生労働省によると、原則として高校卒業後、文部科学大臣または厚生労働大臣が認定する学校・養成施設で3年以上学び、国家試験に合格し、名簿登録と免許交付を受けます。

  • 解剖学、生理学、病理学、衛生学・公衆衛生学
  • 臨床医学、リハビリテーション医学
  • 東洋医学概論、経絡経穴
  • あん摩マッサージ指圧理論と実技
  • 関係法規、安全管理

2026年2月に実施された第34回あん摩マッサージ指圧師国家試験は、厚生労働省の発表で受験者1,070人、合格者910人、合格率85.0%でした。試験制度や日程は年度ごとに変わる可能性があるため、受験時には最新の公式案内を確認してください。

視覚障害者は、申請と条件により、拡大文字・超拡大文字・点字、DAISY-CDや読み上げの併用、照明器具・読書補助具・点字タイプライターなどを使った受験方法が案内されています。必要な申請と証明は早めに学校・試験機関へ確認します。

資格取得から就職までの7ステップ

  1. 仕事を知る:学校見学、卒業生、企業の雇用事例から、施術所勤務との違いを確認する
  2. 養成課程を選ぶ:授業形式、点字・拡大教材、通学、実習、国家試験対策を比較する
  3. 国家資格を取得する:必要科目と実技を学び、国家試験と免許申請を行う
  4. 就職準備をする:施術技術、問診、記録、パソコン、ビジネスマナーを整理する
  5. 求人を比較する:資格、雇用形態、給与、勤務日、予約枠、設備、合理的配慮を確認する
  6. 職場実習・面接で確認する:通勤、社内動線、予約操作、施術室を実際に試す
  7. 入社後に配慮を見直す:一日の流れを振り返り、本人と会社で改善する

求人票・面接で確認したい項目

項目具体的な確認
雇用条件雇用形態、試用期間、勤務時間、給与、更新条件
業務範囲施術、予約、記録、集計、備品管理、健康情報提供
利用人数一日の予約枠、施術時間、休憩、繁忙期
設備個室、ベッド、手洗い、換気、洗濯、緊急連絡
IT環境予約・記録システム、PC、支援ソフト、権限
移動通勤経路、事業所入口、施術室、避難経路
研修・評価技術研修、目標設定、評価基準、キャリア面談

「障害者雇用だから採用されやすいか」だけでなく、専門職として成長できる環境かを確認しましょう。施術件数だけで評価されるのか、安全、利用者満足、記録、チームへの貢献も含むのかによって働き方が変わります。

ヘルスキーパーとして働く魅力

専門資格を生かして企業で働ける

国家資格と施術技術を直接仕事に生かせます。利用者が同じ企業の従業員であるため、継続的な関係を築き、体調変化や職場特有の負担を把握しやすい面があります。

働く場所が比較的固定される

訪問施術と比べ、勤務場所が固定される求人が多く、移動計画を立てやすいことがあります。ただし、大きな事業所、複数拠点、席替えや工事などで移動条件は変わるため、実際の職場を確認します。

従業員の健康と働きやすさへ貢献できる

デスクワークや立ち仕事で疲れた従業員が、社内で施術を受けられる仕組みを支えます。施術をきっかけにセルフケアや受診を意識する人もいます。効果を過大に表現せず、資格の範囲で安全に貢献する姿勢が重要です。

働く前に知っておきたい課題

  • 一人職場になりやすい:相談相手や代替担当者がいない場合がある
  • 施術件数による身体負担:手指、腰、肩のセルフケアと休憩が必要
  • キャリアの見通しが曖昧:昇給、役割拡大、管理職への道が求人から分かりにくい
  • 予約システムの障壁:社内システムがスクリーンリーダーで操作できない場合がある
  • 業務理解の不足:周囲が「マッサージをするだけ」と考え、記録・準備時間を軽視する場合がある
  • 専門職として孤立する:技術研修や他の施術者との情報交換が不足しやすい

課題を本人の努力だけで解決しないことが大切です。会社は相談先、研修予算、業務時間、評価基準を用意し、本人は必要な配慮と専門職としての目標を具体的に伝えます。

視覚障害者が働くための合理的配慮

必要な配慮は、見え方、通勤、支援技術、業務経験によって異なります。本人と相談し、試行後に見直します。

場面配慮・工夫の例
通勤・社内移動経路確認、入口から施術室までの案内、配置変更の共有
予約管理アクセシブルなシステム、キーボード操作、代替入力手段
施術記録スクリーンリーダー対応様式、見出し・入力欄の整理
備品管理置き場所の固定、触覚ラベル、定数管理
利用者対応受付方法、呼び出し、緊急時の連絡手順
研修テキスト・点字・音声・拡大教材、実技を触って確認する時間
災害時避難経路、連絡担当、誘導方法を事前に決める

高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)の事例では、視覚障害者のヘルスキーパー雇用、予約管理、職場内の支援などが紹介されています。古い事例であっても、導入手順や合理的配慮を考える材料になりますが、現在の制度や機器は最新情報を確認してください。

企業がヘルスキーパーを導入する手順

  1. 目的を決める:福利厚生、健康支援、障害者雇用など複数の目的を整理する
  2. 利用ニーズを確認する:対象人数、希望時間、利用ルールを検討する
  3. 職務を設計する:施術以外の予約、記録、集計、備品管理を明確にする
  4. 安全と個人情報のルールを決める:禁忌、緊急対応、記録管理、守秘義務を整理する
  5. 施術環境を整える:広さ、換気、手洗い、保管、音、プライバシーを確認する
  6. アクセシビリティを確認する:通勤、動線、予約・記録システムを本人と試す
  7. 採用・実習を行う:資格だけでなく、実際の仕事との相性を相互に確認する
  8. 評価と改善を続ける:利用状況、安全、本人の成長、従業員の意見を振り返る

企業側の導入チェックリスト

  • 国家資格の確認方法が決まっている
  • 施術の目的と対象者が明確になっている
  • 一日の予約枠と休憩時間に無理がない
  • 問診・施術記録を安全に保管できる
  • 施術できない状態と緊急時の対応を定めている
  • 施術室の衛生、換気、プライバシーを確保している
  • 予約・記録システムを支援技術で操作できる
  • 視覚障害者本人の相談先と代替担当者がいる
  • 業務評価とキャリア面談の仕組みがある
  • 利用者へ、資格者によるサービスであることを説明できる

キャリアを広げる方法

ヘルスキーパーとして長く働くには、施術技術だけでなく、記録、説明、IT、企画、後輩育成などの力も役立ちます。

  • 症例・施術記録を振り返り、安全と技術を改善する
  • 従業員向けセルフケア講座を企画する
  • 利用データを個人が特定されない形で整理し、運営改善へつなげる
  • 予約・記録業務のアクセシビリティ改善に参加する
  • 新任ヘルスキーパーの指導や業務マニュアル作成を担う
  • 産業保健スタッフ、人事、障害者雇用担当と連携する
  • はり師・きゅう師など別資格を検討する場合は、教育課程と業務ニーズを確認する

「施術を続ける」以外にも、リーダー、研修担当、健康施策の企画、アクセシビリティ担当など、会社と本人の強みを組み合わせた職域があります。入社時から将来の役割を固定せず、定期面談で希望を確認します。

よくある質問

Q.ヘルスキーパーは視覚障害者だけの仕事ですか?

視覚障害者の職域として多く紹介されていますが、名称そのものが視覚障害者だけに限定された国家資格ではありません。求人の応募条件は企業ごとに異なります。必要な免許、障害者雇用枠かどうか、仕事内容を求人票で確認してください。

Q.無資格でも社内マッサージを担当できますか?

業として、あん摩、マッサージ、指圧を行うには、法律に基づく免許が必要です。「リラクゼーション」など別名称でも、実際の行為によって判断されます。企業は仕事内容と資格を専門家・行政へ確認し、無資格者との区別を曖昧にしないでください。

Q.鍼や灸もできますか?

はり・きゅうを業として行うには、それぞれ「はり師」「きゅう師」の免許が必要です。あん摩マッサージ指圧師の免許だけで自動的に鍼灸を行えるわけではありません。会社側は保有資格と業務範囲を確認します。

Q.企業は医療機関のような設備が必要ですか?

必要な届出や設備は、提供する行為、場所、運営方法によって異なります。自治体の担当窓口、保健所、専門家へ事前に確認してください。少なくとも、衛生、プライバシー、緊急対応、個人情報管理を職場の仕組みとして整えます。

Q.ヘルスキーパー求人はどこで探せますか?

ハローワーク、学校・養成施設の就職担当、障害者就業・生活支援センター、地域障害者職業センター、企業の採用ページなどがあります。求人名が「マッサージ師」「企業内理療師」「あん摩マッサージ指圧師」となっている場合もあります。

まとめ:資格を生かし、企業の健康と働きやすさを支える仕事

ヘルスキーパーは、あん摩マッサージ指圧師などの専門性を生かし、企業で働く人の健康維持を支える職域です。視覚障害者の雇用機会として価値がある一方、「施術だけ」の職務に固定せず、予約、記録、企画、研修、運営改善などを含めたキャリアを考えることが重要です。

就職を目指す人は、資格と施術技術に加え、実際の業務環境、IT、通勤、評価を確認してください。企業は、法定雇用率の達成だけを目的にせず、専門職が安全に力を発揮し、成長できる職務と環境を本人との対話でつくりましょう。

公式・参考情報

制度・国家試験情報の確認日:2026年8月30日。資格、届出、求人条件は最新の公式情報と勤務先所在地の窓口で確認してください。

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